2025年、米国のゴルフコースマーケットにおけるラウンド数は過去最高を記録し、ゴルフ史上最も長く続く好調な状況が続いています。6年連続全米で5億ラウンド以上のプレーがありました。これはゴルフ史上前例のない記録であり、パンデミック後のゴルフ需要の急増は、当初の予想よりも持続的であることを改めて証明しています。

一見すると、現在のゴルフ人気は、タイガー・ウッズの圧倒的な活躍に支えられた人気に沸いた2000年代初頭の「タイガー・ブーム」と比較されるかもしれません。しかし、今日の記録的なレベルは、20年前の記録とは根本的に異なり、より強い印象を与えてくれています。これは単純な比較ではありません。現在のゴルフ人口レベルは、2000年代初頭のピーク時と比べて最大2,000コースの減少を見る中で達成されており、ゴルフコースの供給量が大幅に減少する中で需要が吸収されています。

1986年から2005年にかけての建設ブームとその後の市場調整を経験しましたが、こうした制約にもかかわらず、2025年のプレー数は2024年の過去最高をわずかに上回り、5年間で4度目の記録更新となりました。総ラウンド数は2024年比で1%強増加しており、パブリックコースのプレー数は比較的安定していたものの、プライベートコースのプレー数がわずかに増加したことで、国内総プレー数を再び過去最高記録に押し上げるのに十分な増加となりました。

それぞれの時代を詳しく見ていくと、その変化を理解するのに役立ちます。
タイガー時代:2000年から2005年にかけて、ゴルフコースへの参加者は過去6年間の平均と比較しておよそ15%増加し、ラウンド数は約12%増加し、ゴルフ施設の数は6%増加しました。
現代:2020年から2025年にかけて、コースへの参加者は約20%増加し、ラウンド数は過去6年間の平均と比較して16%増加しましたが、施設数は約3%減少しました。
様々な要因が重なり、プレーレベルの向上を支えています。ハイブリッドで柔軟な勤務形態により、平日のゴルフの機会が増えました。ゴルフに対する認識は向上し、身体活動、メンタルヘルス、そして社会とのつながりという観点からゴルフが好意的に捉えられるようになりました。天候は概ね良好で、特に記録的な雨量となった2018~2019年シーズンと比べると良好です。最新の予約システムにより、ゴルファーは空いているティータイムを見つけることができ、運営側はより満席で効率的なティーシート運営を実現しています。
今日のゴルフ人口の急増は、タイガー時代よりも幅広く多様化したゴルフコースゴルファー層を反映しており、かつてないほど選択肢が増え、過密化したレクリエーション環境下においても、現代のゴルフへの需要の深さと参加の強さを浮き彫りにしています。繰り返しますが、ゴルフは確かに、歴史上かつてないほど多くの人々によって、様々な方法でプレーされています。2026年に乾杯!
———————————- 私見 ————————————–
さて、米国と日本のゴルフマーケットを比較すると、ゴルフコース数の減少が続いている点は共通しているものの、ゴルフ場利用者数の動向には違いが見られます。日本では利用者数は横ばいから緩やかな減少傾向にある一方、米国では漸増が続いています。

この差の背景には、人口動態の違いが大きく影響しています。米国では総人口が増加しているのに対し、日本は世界的に見ても例を見ないスピードで人口減少が進んでいます。加えて、日本では各種調査に表れているゴルフ参加率もわずかながら低下傾向にあります。ゴルフ人口を算出する際の母数である総人口そのものが減少している以上、参加率の低下以上のスピードでゴルフ人口が縮小していく構造にあると言えます。

では、ゴルフ人口は今後も増えないのでしょうか。従来型のゴルフスタイルの延長線上だけでは、増加は難しいと捉えるべきでしょう。しかし、ゴルフが本来持っている特性を生かし、新しい需要を掘り起こし、その需要に応えられる形のゴルフを提供側が提案していくことができれば、新たな市場を創造することは十分に可能です。

その鍵となるのが、ゴルフ界に求められる「柔軟性」です。柔軟性とは、単に従来のあり方を緩めることではありません。多様な人々や多様な楽しみ方を受け入れる「多様性の受容」と、新たな参加者と積極的に接点を築いていく「関与の姿勢」を併せ持つことを意味します。さらに、その実現のために既存の慣習や運営のあり方を見直すことをいとわない姿勢も含まれるべきです。

ここで重要になるのが、ゴルフを「競技」としてだけでなく、「文化」としてどのように社会の中に位置付けていくかという視点です。文化とは、勝敗や技術レベルに関係なく、人々の生活の中に自然に存在し、世代を超えて受け継がれていく営みを指します。競技としての発展は重要ですが、それだけでは社会的な広がりは生まれません。誰もが自分なりの関わり方を持ち、日常の一部としてゴルフと接している状態をつくることが、「ゴルフ文化」の形成につながります。

日本のゴルフ市場は、人口減少という構造的な制約の中にあります。したがって、従来型のプレースタイルや利用形態の延長線上だけでは、新たな需要の拡大は難しい状況です。ゴルフが本来持つ多様な魅力――自然の中での身体活動、世代や立場を超えた交流、技術レベルに応じた楽しみ方の幅広さ――を生かし、これまで十分に取り込めていなかった層に向けた環境整備が不可欠です。

その具体的な方向性については、すでにルールの簡素化やプレーフォーマットの多様化、初心者や若年層へのアプローチ強化などに取り組んでいるUSGAやR&Aの動きも参考になります。それらの活動には、ゴルフの将来像を見据えた先見性がはっきりと読み取れます。海外の主要団体がすでに変化へと舵を切っている事実は、日本のゴルフ界にとっても、自らのあり方を見つめ直す重要な契機となるはずです。重要なのは、それらをそのまま導入することではなく、日本の実情に即した形で制度や環境を設計していくことです。

そして、この転換を業界全体の動きとして進めていく責任を担うのがJGAです。ゴルフ場や練習場個々の努力だけに委ねるのではなく、「誰もが自分に合った形でゴルフと関われる環境」を社会の中にどのように位置付けていくのか――その全体像を描き、方向性を示し、関係者をつなぎ、具体的な施策へと導いていくことは、日本のゴルフ界をリードする団体としてのJGAの重要な責務であると言えるのではないでしょう。