公益財団法人日本生産性本部からレジャー白書2024の速報が発表されました。発表資料(速報版)はhttps://www.jpc-net.jp/research/detail/006963.htmlからダウンロードできます。余暇重視の傾向がさらに強まっています。

速報資料と過去のデータからゴルフ版速報をまとめました。

ゴルフ参加率と推計ゴルフ人口

7月22日に発表されたレジャー白書2024(速報)では、各スポーツ種目などの参加率が発表されましたが、人口についての発表はありませんでした。人口については推計で後述しますが、ゴルフコースの参加率は5.4%と前年比で0.1ポイントのアップとなりました。ゴルフ練習場は5.2%で前年と同率でした。表にまとめると次のようになります。

2021年の増加は新型コロナボーナスともいえますが、新型コロナで委縮した消費の反動と考えられています。グラフだとよくわかりますがアップダウンを繰り返しています。このような結果になるのは、サンプル数が少ない場合にデータのバラツキが原因で起こることがあります。昔、米国のNGFのデータも同じ傾向がありました。
ゴルフ人口としては、背景にあるのが日本の総人口の減少という社会構造の大転換ですから、従来のままの市場経営では残念ながらゴルフ人口はさらに減少を続けることになります。だから、ゴルフ振興が求められているわけです。ゴルフ人口というパイが小さくなるのですから、自分の施設は大丈夫なんて奇跡は置きません。神風も吹きません。
参加率から2023年のゴルフ人口を推計しました。人口は調査が実施された2024年2月1日時点の人口推計値(総務省)を元に推計しました。レジャー白書の調査対象である15歳から79歳までの人口は9733万2000人です。この対象人口の5.4%ですからゴルフ人口は526万人と推計されます。ゴルフ練習場の人口は506万人となります。対前年比では、ゴルフコースが16万人、3.1%の増加で、練習場は6万人、1.2%の増加です。練習場の参加率は同率でしたが人口は増えています。これは少子高齢化の影響です。このことからも、今後は高齢化による人口ボーナスが見込めなくなり、少子化はゴルフ人口の今後に大きな影響を及ぼすことになります。

次に示したグラフはゴルフコースと練習場の人口の相関を見たものです。ゴルフコースの人口だけが増えるということは考えにくく、どちらかが減少すれば一方の人口も減少することを想定しておく必要があります。もちろん逆もあるわけで、どちらかではっきりとした増加傾向が確認できれば、他の参加人口も増えるという状況が起こるはずです。

年間活動回数、平均費用、参加希望率はどうなったか

参加率以外では年間の活動回数と年間平均費用、将来参加希望率が発表されました。
年間の活動回数は、2023年はゴルフコースが17.3回で、前年より2.7回増えています。練習場は21.2回で、1.0回増えています。一般社団法人ゴルフ場経営者協会(NGK)から発表されるゴルフコースの利用回数が安定しているのは、プレー回数の増加ということのようです。

年間の平均費用は、ゴルフコースが前年から1万8800円少ない16万4600円で、10.2%減と2桁の減少になっています。練習場は、1500円、5.4%の減少です。費用については用具費などの区分が発表になっていないことから、減少しているのがプレー費か用具費なのかは不明です。

1回当たりの費用は、ゴルフコースは1万円を切り9500円で、練習場は1241円です。ゴルフコースの平均費用が1万円を切るのは2020年以来です。会費や用具費を含めた平均金額ですから、ゴルファーの財布のひもは固くなっています。活動回数は増加していますから、安くラウンド回数を増やしたいというのがゴルファーの気落ちのようです。また、ゴルフ人口を増やすとなれば、初心者の初期費用として用具費はコストとして無視できず、何らかの対策は必要になるはずです。

さて、将来のゴルフ人口を考える上で参加希望率は大いに気になる数字です。ゴルフコースが7.3%から6.7%に、練習場が7.0%から6.0%へと低くなっています。繰り返しなりますが、レジャー白書のデータはサンプル数が、特定の種目、例えばゴルフだけを取り上げるには必ずしも十分ではないという指摘もあることからバラツキを考慮する必要はあります。ただし、トレンドを見る上ではレジャー白書の内容は無視できません。また、新規参加希望率とともに検討するべきは、ゴルフを中断してマーケットから退出するゴルファーに対するフォローアップです。再開しやすい環境の整備は安定してゴルフ人口を維持し、増やすためには欠かせません。

注記:サンプル数は3303で、調査対象はギャンブルを除き15~79歳の男女