R&Aから世界のゴルフ人口に関する一報が出ました。ゴルフ人口は世界的に見て増加を続けていますという内容です。米国もNGFに発表では増加を続けていますから、日本の減少が逆に目を引いてしまいます。R&Aのゴルフ参加状況調査は、スポーティングインサイト社が調査を担当した2022年から基準の変更が行われたため、どうも日本の実態が反映されていない気がするのは私だけかな？ とはいえ世界の状況を見るためにも速報された内容を紹介します。なお、ここでのゴルフ人口は成人を対象にした人口です。
R&A（正式にはThe R&Aです）は、R&A傘下の米国とメキシコを除いた地域の2023年ゴルフ人口は4,270万人です。この人口は9ホールおよび18ホールの一般的なゴルフコースでプレーした人口で、前年の2022年の3,960万人から310万人増え、4,270万人と発表されました。率に直せば7.8％の大幅な増加です。世界のゴルフマーケットは、Covid-19によるパンデミック以前から成長を始めており、新規にゴルフを始めた人口は2020年から2022年の3年間の増加は平均で250万人だったそうです。また2016年のゴルフ人口は2,960万人であったことから44％増加したそうです。
ところでゴルフのテリトリーとしては米国とメキシコはUSGAの管轄です。メキシコのゴルフ人口ははっきりとしませんが、米国のゴルフ人口はNGF（米国ゴルフ財団）によると2,660万人です。合わせると世界のゴルフ人口は6,930万人ということになります。米国では2018年からゴルフ人口は増加に転じていますから、世界的にはゴルフマーケットはさらに拡大しようとしています。
ゴルフ人口はさらに増加へ
R&Aの調査は、スポーティングインサイト社が担当しており、調査方法はNGFとほぼ同じ基準で行われているようです。NGFは一般的なゴルフコース以外のゴルフ施設、例えばパッティングゴルフ施設やシミュレーションゴルフなどのインドアゴルフ施設を含めたゴルフ練習場、そしてエンターテイメント性の高いTop Golfのような施設でゴルフを楽しんでいる“ゴルファー”に注目していますが、スポーティングインサイト社も同じようにゴルフコース以外の施設でゴルフを楽しむ人たちを含めたマーケティング戦略をとっています。いわば多様性を持ったゴルフの普及を進めることでゴルフコース人口を増やそう、維持しようと考えているようです。
この新しい基準による調査では、米国とメキシコ以外では6,230万人の成人が何らかの形でこのスポーツ（ゴルフ）を体験しており、2022年は6,120万人でしたから110万人も増加しているとのことです。
今回の調査結果についてR&Aのチーフ・ディベロップメント・オフィサーであるフィル・アンダートン氏は「ゴルフの人気は高まり続けており、コースの内外でゴルフをプレーする人の数は大幅に増加しています。R&A傘下のゴルフマーケットでは2016年以降、コースでプレーするゴルファーが1,300万人増えましたが、ゴルフ練習場、アドベンチャー・ゴルフ、シミュレーター・ゴルフなど、ゴルフの成長に欠かせない形式を楽しむゴルファーも数百万人います。こうした施設を含めた魅力的なプレーの提案、プロモーションなどの新しいスタイルのゴルファー参加プログラムは、より多くの人々をこのスポーツに参加させ、ゴルフ参加人口を増やすために重要です。このため、私たちはＲ＆Ａに加盟する各国のゴルフ協会や関係者と協力し、この勢いをさらに加速させ、ゴルフが繁栄し続けるよう努力を続けています」と話しています。ちなみに米国でのゴルフコース以外の施設でゴルフを楽しむ人口はNGFによると1,840万人だそうです。
注目されているアジア市場の成長
R&A管轄域でのゴルフ人口のトップ５市場は、1位は日本（1,140万人）、次いで韓国（870万人）、カナダ（630万人）、イギリス（420万人）、ドイツ（240万人）だそうです。他の国の数字は良く分かりませんが、日本に限れば各種調査に見るゴルフ人口を大きく上回る数字です。マーケット規模に関しては、スポーティングインサイト社の新しい基準ではこの人口をどう解釈すればいいのか悩むところです。要はゴルフの定義の問題ですが、同社の正確なゴルフ施設の定義と適用範囲が公開されることを期待します。
さて、アジアはR&A加盟地域の中で何らかのゴルフに関わっている人口が最も多い地域であり、総ゴルフ参加者数は2620万人、次に多い地域はヨーロッパで1,970万人ということです。
ところでR&Aの基準に登録ゴルファー人口があります。これは各国のゴルフ協会に加盟するゴルフクラブの会員または協会に直接加入するゴルファーの人数です。この登録ゴルファーの人数は、2023年は、2022年の800万人から820万人に増加しています。2020年以降10％ほどの伸びを示しているそうです。女性ゴルファーの登録者は2020年の150万人から2023年は160万人に増加しています。日本の登録ゴルファー人数は、2022年は71万人と報告されていますから、これは申請者を含めたハンディキャップ取得者（予定を含む）の人数です。日本のゴルフ倶楽部会員はもっと多いはずです。
さて、注目される点は9ホールまたは18ホール以外のゴルフ施設でしかプレーしない成人は2022年の2160万人から2023年は1960万人に減少していることです。いわばゴルフコースゴルファー予備軍が減少しているわけですが、この理由としては、日本でいう参加希望者が一般的なゴルフコースでのプレーに移行した結果と分析しています。NGFやスポーティングインサイト社などマーケティング会社はゴルファーを一般的なゴルフコースでラウンドする人に限定せずに対象を広くすることで、結果としてゴルフコース人口を増やすという戦略があるように見えるわけですが、そうなると次の戦略が必要になるということなのでしょうか。
そして注目されるのは、女性ゴルファーのマーケットの動向です。2024年のレポートでは、女性の一般的なゴルフコース以外のゴルフ施設を利用する割合は、2022年の47%から2023年は52%に増加しているそうです。この傾向は、特に主要なゴルフ市場で見られる傾向だそうです。こうしたレポートからは、ゴルフの敷居を低くして女性をゴルフに誘おうという市場戦略が見えてきます。これは納得できる状況といえます。
なお、R&Aは、様々な活動を通じてゴルフへの参加を促す持続的な取組みを含め、ゴルフの発展に10年間（2017～2026年）で2億ポンドを投資すると発表しています。やはりマーケットへの当初は必要です。
出典元：https://www.randa.org/en/articles/golf-participation-continues-to-enjoy-growth-globally
